各国のHIV有病率と人口あたりコロナウイルス感染数、死亡数に強い相関

Iori
4 min readAug 29, 2020

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Photo by Michael Longmire on Unsplash

日々のコロナウイルス感染数のデータもHIV有病率の統計もどちらもインターネット上で無料で公開されてますが、この2つが並んで比較されたことはないと思い、自分でやってみました。この分析に際して、HIVについて語ることの繊細な部分は認識していますし、偏見や差別を助長する意図は全くありません。

6月の段階で各国のHIV有病率と、感染数が多い上位12カ国の人口あたり感染数になぜか強い相関があることは発見していました。強い相関というのは、HIVの有病率が高い国ほどより人口あたり感染数が多いということです。8月21日になってからそれに加えて人口あたり死亡数もHIV有病率との相関を示し始めたため、この結果を公表しようと決めてこれを書いています。

HIV有病率(%)と人口100万人あたりコロナウイルス感染数の比較

上の分布図は8月20日現在の人口100万人あたりコロナウイルス感染数と、HIV有病率の相関を示しています。HIV有病率は2016年時点の15〜49歳の国民人口に占める有病者のパーセンテージです。コロナウイルス感染数の多い上位20カ国のうち、HIV有病率のデータがある14カ国を対象にしています。相関係数は0.78で、強い相関を示しています。この分析にあたり、HIV有病率が20.4%と極めて高い南アフリカは対象から外しています。6月に同じ分析をした際、コロンビアとアルゼンチンはコロナウイルス感染数がまだ多くなかったため対象にしていませんでしたが相関係数は0.79でした。

HIV有病率(%)と人口100万人あたりコロナウイルス死亡数の比較

上の分布図は8月20日現在の人口100万人あたりコロナウイルス死亡数と、HIV有病率の相関を示しています。HIV有病率に関するデータの内容は上と同じで、分析対象国も上と同じです。相関係数は0.61でHIV有病率とコロナウイルスによる人口100万人あたり死亡数の間の有意な相関を示しています。これは、HIV有病率が高い国ほど人口あたりのコロナウイルス死亡数も多いということを表しています。6月に分析した時点ではこの相関は見られませんでした。

残念ながら、この相関によってなぜコロナウイルスによる人口あたり死亡数はイタリアよりスペインの方が多いのか、またなぜ人口あたり感染数はフランスよりドイツで少ないのかなどの説明がついてしまいます。

コロナウイルス感染数の統計はジョンズ・ホプキンス大学から、HIV有病率のデータは世界銀行のウェブサイトからダウンロードしました。

今回の分析については、解釈を加えることは控えようと思います。また今後よりこういった分析を進めて、正確性を高めていきたいと思っています。

さらなる調査や分析、独自分析の依頼、質問などあればコメント欄やプロファイルにあるメールアドレスからお気軽にご連絡ください。

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