致死率5%で再感染するということは、来年の秋までに致死率が30%に累積するという意味

Iori
4 min readAug 31, 2020

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Photo by Jamison McAndie on Unsplash

コロナウイルスの致死率(*)と再感染性は全く別の話のように議論されますが、同じ土台で見ると波が徐々に陸地を浸食するようにウイルスが人口を削っていく可能性が見えてきます。

フランスでは、5月の終わりに致死率が約20%に到達、現在でもまだ15%を上回っています。イタリアやベルギー、ほかのヨーロッパの国々もそれに迫る勢いです。もっとも、ベルギーは生前にコロナウイルス感染と診断されていなくても既に感染していると診断された人と接触があったことが分かればコロナウイルス死としてカウントしているため、他のやり方を採用している国よりも致死率は高く報告されてはいます。一方でドイツやアメリカなどは致死率を5%以下に抑えており、死亡数のカウント方法に世界的な共通枠組みがないのが現状です。フィナンシャル・タイムズやニューヨーク・タイムズは主要国における超過死亡数統計という極めて価値の高いデータをまとめています。これは前年に比べてどれだけ死亡数が増減したかということを比較したものです。この統計はコロナウイルス死のカウント方法によらず比較的現実的な致死率を示唆するものですが、アメリカを含めてほとんどの国は6月末以降この情報を更新するのをやめてしまいました。なので、本文では大まかに致死率5%で話を進めていきたいと思いますが、もっと低い致死率でも時間軸が横に伸びるだけで本旨は変わりません。

コロナウイルスが同じ人間に短期間のインターバルをおいて再感染するのではないかという噂は前からあり、ちょうど一週間前に香港の研究者が同じ人物が二度感染する事実を初めて認めました。その数時間後、ベルギーとオランダがそれぞれまた一度感染した人物が二度感染するという事実を公式に認め、”しかし再感染は珍しい事象で一般には十分な免疫が備わるので心配しないでいい”という見解も合わせて発表しました。この3人のどの患者も最初の回復から数ヶ月は経っており、症状が発表されているベルギーの患者はマイルドな症状ということなので再感染で症状も伴うようです。実際、回復した人の抗体は3ヶ月で消失してしまうという研究結果も報告されています。

第一波に見舞われた地域の7割が現在第二波に見舞われています。もしワクチンが開発できなかった場合、約3ヶ月おきに5%程度の致死率で繰り返し戻ってくることになります。その場合、実際の致死率は累積するわけですから、5%には留まらないことになります。第一波で生き残った95%のうちの5%が第二波で死に、約3ヶ月後にその95%の生存者の中のさらに5%がまた死ぬということが繰り返し起こるためです。これは極めて単純なシミュレーションですが、致死率が累積するという事実は公の場で議論されるべきでしょう。致死率が累積されていく様子をグラフに落とし込むと以下の通りになります。

95%の生存者のうち5%が3ヶ月後の次の波で死ぬという状態が繰り返されると致死率は累積してこうなります。

これは予測ではなくシミュレーションです。このシミュレーションによると、来年の1月までに累積の致死率は18.55%。来年の10月までに30.17%にまで上がります。最終的に致死率は漸近的に100%に近づきますが絶対に100%にはなりません。計算式はΣ(n=1~∞)5%*100%+5%*95%^nです。

インフルエンザはこれほど頻繁には戻って来ませんし、致死率は0.1~1.0%とコロナウイルスとは比較にならず低いです。また、人間はまだコロナウイルスのどの株に対しても一つもワクチンを開発できていないという事実も重要です。ロシアと中国はフェーズ3の段階を飛ばしてワクチンを承認しましたが、これはこれらの国が致死率は累積するという現実を冷静に見通しているからかも知れません(ロシアは承認2週間後にワクチンを再びフェーズ3に戻す措置を実行したため、承認後に安全確認を行っている格好)。

*本文ではCase fatality rateのことを指します。

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Analyzing Covid-19 based on the open data. For tailored research or inquiry, email me at fukushimadiary.official@gmail.com

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